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7、被害者支援について

犯罪被害者支援センターの創設

 児童虐待・ドメスティック・バイオレンス被害者・性犯罪被害者・ストーカー行為に悩む人・交通事故被害者も含めた総合的な犯罪被害者支援センターを人口や交通事情にあわせて設立し、犯罪被害の相談・支援等ができること、もちろん警察への通報をためらう人もいると思います。被害者支援センターでのサポートによって、今まで隠れていた犯罪に対して、被害届や、告訴を行うことができる体制を作ることも必要です。

被害直後の危機介入を

 被害直後にもっとも必要なことは、身の安全を確保することです。そして、被害者は常に不安のなかにいるわけですが、ショックが大きく被害者の不安感を感じることができません。

 犯罪被害後、早い時間に、犯罪被害者がどういった問題を抱えているか、かんたんなガイダンスをしてもらえると、とても安心できます。
病院との対応、マスコミへの対応、捜査の方法、刑事司法のさまざまな局面、そして、殺人事件の遺族の場合には、お葬式等の準備についてさまざまなサポートが必要です。


精神的被害について

 精神的な被害は、ショックを涙を流すことや放心状態になることが可能な人、時、まったく精神的ショックを受け入れられない状態で、平静な雰囲気を持つ人、時、被害者、家族、周囲、それぞれ、被害の表れ方が、ちがいます。

 赤ん坊のときから培っていた社会への安心感や、自分への信頼感、人間関係の作り方を、真っ向から破壊するのが犯罪です。
破壊された安心感や生きてきた価値を取り戻すためには、一つ一つ、今何を感じているかを言葉にして、対話していく過程のなかで、自己、社会への信頼感をもう1度つくりなおす作業が必要です。

 被害者は、犯罪だけでなく、社会や周囲の人からも、傷つけられるため、自己の防衛壁が、厚く高くなっています。人と話をしたり、交際をするのが、むずかしい時もあります。
人への信頼感が戻ってくると、防壁はうすく低くなっていきます。でも、すべてにわたって傷つけられてしまっていますから、防壁を厚く、高くしなくては、自分自身を守りきれないのです。

 犯罪の上に、2次被害、3次被害は、傷に直接塩を塗りこめられる鋭い痛さがあります。身を守る皮膚が殆どないのに、その上からバシッとたたかれている痛さです。自己を守るには、他者との壁を厚くするしかないのです。その防壁を越えて、あるいは、意識することなく話すことができる機会が日常的に必要です。防壁があることを自覚し、言葉にしていくことで、犯罪被害を原点にした生き方を創りなおすことができます。


自責感

 なぜ、犯罪被害にあうことになってしまったのか、家族が犯罪被害で亡くなってしまった場合、このようにしてあげれば、家族はなくならなかったのではないかといった思いで、家族としての責任を果たさなかったのではないかという思いにさいなまれます。


プライバシーを守ること

 被害者の氏名、住所、年齢、写真が公開されるとき、被害者には新たな危険が生じます。いわれのないうわさに傷つけられます。「犯罪を被るようなことをやっていたのだ」という非難をあびます。これは、犯罪のショック以上に人を傷つけます。加害者が、特定できないとき、加害者が、出所したとき、被害者の情報は、再度の犯罪を受ける危険をつくります。加害者やその周囲に被害者の情報を与えないことは、被害者の安全や安心感を損なわない大切な行為です。


加害者からの安全確保のため、情報を

 加害者が被害者に日常生活のなかで接近しないことは、被害者の身の安全、安心感を守るために必要なことです。
そのためには、加害者が逮捕され、起訴された場合、不起訴の処分の場合、どちらの場合においても、加害者がどの地域に住んでいるのかという情報は必要です。

 逮捕され、刑罰を受け、出所してくるとき、加害者がどの地域に住むのかによって、被害者の安全感は、異なってきます。被害者が、再被害で苦しむことのないよう、自らが身を守る手段をとるためにも、加害者の情報が必要です。


経済的補償を

 犯罪被害者に金銭給付が行われる法は,唯一犯罪被害者給付金支給法があります。
これは、警察庁で拡充を行うということです。
基本的には,お見舞金の性格です。
お見舞金の他に、被害者の医療補償と生活補償が必要です。

 警察だけでなく、厚生省や文部省,労働省等,大蔵省,社会保険庁も加わって、被害者の経済補償制度を確立すべきです。


被害者のための弁護士を

 加害者には,国選弁護人制度があります。また今、被疑者への国選弁護人制度の確立が叫ばれています。冤罪であることもあるのですから、当然の制度です。被害者にも,国費で弁護士の支援が必要です。

 損害賠償請求をするとき、被害者は、自費で行います。犯罪被害で悲惨な状況にある人に、損害賠償を求めるのは、すべて自費でする現在のシステムは,冷酷だとさえいえます。

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