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1.なぜ今合併なのでしょう

 合併推進は、 地方分権の受け皿をつくるという国のお節介政策ではなく、強固な中央集権のぶり返しを行う虚言です。国の財政危機を、乗り越えるために地方交付税の削減でも行う政策です。平成14年度の都道府県・市町村の財政は、歳入歳出(収入・支出)は、87兆5666億円。

 その歳入のうち地方債(借金)は、12兆6943億円で、歳出のうち公債費(借金の返済金)は、13兆4314億円でした。

 地方自治体の歳入は、地方税と地方交付税(都市と地方の差を解消するために、国が定めた地方が必要とする経費 【基準財政需要額】から、地方税【基準財政支出額】を差し引いて不足する額を国が配分する税金)が中心になって、1年間の予算がつくられていきます。

 1980年代後半から、国はバブル崩壊後の不況を乗り切るために、多くの公共事業を進めました。地方自治体にもたくさんの公共事業をするように指導がありました。公共事業を借金で進めても、その借金の返済は、地方交付税で面倒を見てあげるから多くお金を借りても大丈夫ですよ。という言葉を信じて、地方自治体も借金依存の経営を続けました。とうとう、平成13年度の国の地方交付税額は19兆6千億円でしたが、そのうち地方交付税の税源は12兆7千億円で、約7兆円、地方交付税の3分の1が借金という事態になってしまいました。

――――国が無理やり面倒を見て進めた地方自治体の公共事業、それでも経済の悪化は収まらない、これでは、国はたまったのものではない、地方交付で、返還金を面倒みてくれると思うから、地方はいつまでも国を頼るのである。地方交付税を削減するにはどうすればいいんだ…合併させればいいのだ――――

 そして、地方自治体は、山間部で過疎地・高齢者が多い小さい自治体ほど、地方税は少なく、その不足額の地方交付税は高額にする小規模町村段階優遇策が、経済効率上問題視されることになったのです。
人口密度の高い都市では、水道事業を行うにしても、道路を建設するにしても、学校教育を行うにしても一人当りの事業費は安くなります。一方、人口密度の低い山間部では、過疎地であるために、消防費にしても水道事業費にしても、道路を建設するにしても、学校を維持していくにも一人当りの経費は高額になります。

 地方交付税の基本財政需要額の計算方法のなかで、議会費や消防費の一人当りの経費は、人口4,000人規模の町村は、人口10万人規模の市の約3倍に計算されています。小規模自治体をまとめて10万人規模の人口の自治体にすると、地方交付税が減額できる計算です。
12兆円程度に削減できます。
国の地方交付税を借り入れないで、地方に配分でき、国が相変わらず、地方より優位に立つための市町村合併です。

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