町民税、固定資産税、国民健康保険税、軽自動車税の税金を近隣で組合をつくって、納期内に一緒に納税すると納税額の1・5%が補助金として返還される税の還付制度「納税組合補助金」が平成8年度まで支出されていました。
この制度はサラリーマンなどの源泉徴収には適用できず不公平ですし、納税通知書の配布や税徴収の際に組合員の所得額が、納税組合長にわかり、プライバシーが侵害されます。平成4年度から、議会で廃止することを町長に求めていました。
ところが、議員のほとんどは、自営業者、農業者ですから、納税組合の存在している地区が選挙の地盤です。納税組合の補助金をなくすことに抵抗があります。そこで税の徴収に納税組合が有効と、納税組合の奨励を町長に要望した。議会の質疑で納税組合補助金の廃止をいいながら、議会全体では納税組合が税徴収に有効なので、納税組合を設立するようにと町長にはたらきかけるのですから、議場での変革は困難です。司法の力を借りざるえません。住民監査請求を起こし、住民訴訟へと発展しました。
平成5年度分 平成6年度分、平成7年度分合計1820万円の返還請求の訴訟です。
嵐山町税務課長の証人尋問、私の証人尋問が終わったのち、平成9年3月23日、裁判所が和解勧告をしました。平成9年度分から納税組合補助金を支出しないことで、裁判を取り下げました。嵐山町の納税組合は廃止になったのですが、税の徴収率が下がるということはありませんでした。埼玉県92市町村のうち、納税組合制度があるのは62市町村でしたが、廃止の方向にむかっています。
嵐山町(以下、町とする)長関根昭二(以下甲とする)は、平成6年5月末日までに、町内153納税組合(以下、本件組合とする)に対し、679万9320円を平成5年度補助金をして交付した。
右補助金は、下記理由により、地方自治法(以下法をする)第242条1項に定める町に損害を与えた違法な公金支出にあたる。損害を甲より町庫に補填させるよう監査を求める。
1. | 法第232条2より、公益上必要がある場合には、補助金を交付できるが、その補助は法令、条例に定めある事柄に限られているか否かについては論議がある。右法上にいう「公益上必要がある場合」は、行政の自由裁量行為ではないとする点では、判例学説とも一致している。 |
2. | 本件組合は、納税貯蓄組合法に基づく、納税貯蓄組合とは、目的、性格を異にし、法律上の位置付けのない任意の団体にすぎない。本件組合による納税方法は、地方税法(以下、地税とする)第1条9号による特別徴収ではない。普通徴収の納税通知書の配布等を町より託された組合長と称する代表者に、組合員が税額金員を託し、代表者が一括し手、指定金融機関に納付するだけである。代表者による援託課税の権限、組合員に代わり立て替え納付する義務もない。あるならば、前者は法第243条に反し、後者は地税第300条に反する。納付方法は一般町民が持参し、または口座振替によって納付する場合と変わらない。一般町民の殆どは延滞なく完納しているが、本件組合にのみ、完納報奨金を交付することは条理法上平等原則に反する。前納と異なり、完納報償は憲法第30条に反し、地税にも定めはない。 |
3. | 仮に本件組合に「公益上の必要」を認めるとしても、各納期の延滞がふさがれるにすぎない。その効果は微細であるに対し、組合長及び組合員による相互監視、共同体掣肘の人格権侵害、個人資産に関する秘匿権放棄の強制等、憲法第13条及び29条に定める権利への抵触は避けられず、条理法上比例原則に反する。 |
4. | 本件組合がないため、徴税上被る損失を、加入全世帯が毎月1ヶ月間滞納、その分町は毎月借入、借入利率年8%、督促料は科料として徴収、利息を損失として試算すると、年間町支払利息は265万5166円であり、本件組合の公益効果である。従って、414万円4154円は公益性のない徒費支出であり、法第232条2に反する。 |
5. | 本件組合全世帯が毎月1ヶ月分の延滞の事態はありえず、期間内完納の効果があったとしても実益は微細である。従って、不法行為上の因果関係説に基づき、補助金支出全体を損害とし、交付額全額の補填を求める。 |
以上、地方自治法第242条の定めに従って、別紙添付資料をそて、貴職に適正な措置を講ずることを請求する。
請求人 嵐山町平沢254−64 渋谷登美子
嵐山町●●●●●●●●● ●●●●●
添付資料
嵐山町監査委員 金井左中殿
三村泰明殿