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4, 政治倫理確立システムの必要性

林茂県議会議員の不祥事と嵐山町議員

 2月3日、新聞各紙の地方版に、昨年12月、林茂埼玉県議会議員が、嵐山町議会議長根岸豊氏の案内で、嵐山町議員宅にサラダ油をお歳暮として、持参したことが報道されました。

林茂県議会議員は、戸口勝元県議会議員が、統一地方選挙で公職選挙法違反により、辞職し、司法でも連座制が適用された後の、補欠選挙により当選した議員です。町議会議員同志のつきあいで選挙の応援をした嵐山町議員に、お歳暮という名目で、サラダ油を送ったものです。

たかがサラダ油くらいでという意識は、政治には通用しません。3000円のサラダ油も100人に渡せば、30万円になってしまいます。政治活動に多額の金銭が必要になり、結果として、企業と結び付き、贈収賄などの犯罪になりかねません。

 今回、放置して置けないので検察庁に告発しました。


公職選挙法違反の告発状

2000年3月21日

浦和地方検察局熊谷支部御中

告   発   状
告発人  ●●●    
被告発人 埼玉県議会議員
林  茂   

1 告発事実

 被告発人林茂は、1999年11月、埼玉県議会議員補欠選挙において同県西15区より選出された。同補欠選挙は、元埼玉県議会議員戸口勝による買収行為など公選法違反、辞任により行われたものであり、選挙に関わる公明性の確保は特に重要であった。ところが、被告発人は、同年12月末、嵐山町議会議長を伴い、同議会議員三村泰明ら14名に、食用油セットを配るなど、寄付行為を行った。同行為は、公職の候補者等の寄付の禁止を定める公選法第199条の2に違反すると思料されるので、刑訴法239条の1項の定めに基づき、告発する。

2 告発にいたる事情

 私的な付き合いや利害関係が選挙結果を左右し、政治家が開発行政をあやつり、金と権力が支えあって住民や自然が犠牲にされてきた。暴力がこのような仕組みを支えている。1999年11月に行われた県会議員補欠選挙は、このような馴れ合い政治を見直すべき機会であった。ところが、今年(2000年)2月3日新聞報道されたように、被告発人による、嵐山町議員への寄付行為が発覚した。さらに、2月8日開催された嵐山町議会全員協議会に出席した渋谷登美子議員によれば、同議会の議員20名のうち、14名が、上記寄付を受けていた。また、同全員協議会に出席した●●●議員からは、「自分ももらったが、いわれるまで悪いとは思わなかった。」などとの、馴れ合い政治を良しとする発言もあった。これに危機感を抱いた告発人●●●●らは、嵐山町議会議員全員に公開質問をだし、全員から回答を得た。同回答により、被告発人から同議員ら14名が寄付行為を受けたことが確認された。なかでも、寄付を受けた一人である、●●●●議員は、「平成11年12月末日、新聞報道の通り、食油セットを林県議から受け取り、後日根岸豊嵐山町議長に返却した」ことを明らかにし、「私は、この様なことはしないで下さい。と言いましたが林県議、根岸議長同行であるので、ついうかつに受け取ってしまいました。誠に申し訳なく思います。この様な事態に到ったことは重大な行為でありその責任は大きいと感じております。」などと、述べておられる。

 議員のなかで、指導的立場にあり、公選法についても熟知しておられるべき町議会議長が、被告発人による違法な寄付行為に積極的に荷担していたことは、とくに重要であり、このような行為は、公選法制度に挑戦するものとも思われる。もしも、このような違法行為が不問に付されることになれば、政治家ならびに法制度に対する選挙民の不信は増すばかりであろう。被告発人の行為について、厳正な調査を行い、適正な処分により、糾すべきことは糾すために、敢えて告発にいたったものである。


3 添付資料

(1) 新聞記事

(2) 2000年2月8日嵐山町議会全員協議会メモ及び聞き取りメモ(写し)

(3) 嵐山町議会議長に対する公開質問状と、回答(写し)

(4) 嵐山町議会議員に対する公開質問状と、回答(写し)

以上


根岸豊議長の責任

私が驚いたのは、議長である根岸豊議員が、嵐山町の保守系議員の家を案内して歩いたことです。6期目の議員です。何がよいことで、何が悪いことがわかっているはずです。あいさつだけにするようにその場で忠告する義務があったはずです。

嵐山町の議員の多くは、留守宅に置かれてしまっていたり、訪問を受けた議員は根岸豊議長に続いて林茂議員が家の玄関先に入ってき、断りにくい雰囲気だったということです。


嵐山町議員の4分の3は、新人と2期の議員です。保守系の議員が、議長の訪問を断ることは、とても難しい。根岸豊議長が、他の保守系議員を巻き込んでしまいました。

新聞報道で発覚するまで、わからないことでしたが、発覚した以上、事実を明かにする必要があります。

根岸豊議長の責任は、ほかの議員の責任に比べ比較にならないほど大きいものです。


嵐山町議会は、何をすべきだったか。

この事件に対して、少なくとも3つのことを行わなくてはいけませんでした。

  1. 嵐山町議会としてどのように対応するのか
  2. もらった議員と道案内した議長は事実を明らかにする
  3. その上で、もらった議員と道案内した議長は謝罪と反省をする。

3月定例議会では、嵐山町政治倫理条例を確立する決議と、根岸豊議長に、議会と議会報嵐山で、住民に反省と謝罪することを求める決議、林茂県議の辞職勧告を求める決議は否決され、結果として、嵐山町議会は政治倫理綱領等を確立する決議を採択したことで終わりました。

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