4、議会との関係から

病気はプライベートなことでは???

 12月5日、最初の病院で、乳がんが灰色で、手術が必要かもしれないと告げられたとき、議会での男女共同参画推進特別委員会のスケジュール調整が気がかりでした。3月議会までに、男女平等条例案を策定する必要があるため、最低でも5回以上の委員会の開催が必要になってきます。

委員会担当の議員に、委員長の私のプライベートなスケジュールにあわせてもらう必要がでてきました。癌であるかもしれないためスケジュールへの協力をお願いし、私の予定に合わせての委員会開催の了承を得ました。

不愉快だったこともありました。翌日の朝、町職員の日一人が、私が癌かもしれないことを知っていたこと。

病気は、人のプライバシーであるはずなのに、なぜ、すぐ人に話が伝わっていくのだろうか…嵐山町町民の人に、嵐山町役場にはプライバシーがない、相談事やプライベートな情報が噂として流れるという苦情を何度か聞いたことがあります。同じ思いでした。

数日後、議員活動の場で、癌かと確認にくる議員、病状を確認する議員に当惑しました。病気はセンシティブな問題、親しい間柄でも話題にするのは遠慮するのが常識でだと信じていました。

又、癌であった場合、親しい間柄の人が本人の口からでなく他人から癌であることを聞くのは不愉快なものです。癌患者ガ癌であることを他人に告げるか告げないかは、微妙な問題です。 

不安感があるとき、センシティブな事柄を聞かれること、癌であるかどうかを確かめられるのは、親切なことのようでもいじめに等しく、切り返すにはかなりのエネルギーが必要です。

「転移していなかったの?」という会話には、呆れて絶句でした。

 

性と生殖に関する健康・権利

 男女共同参画推進特別委員会で、男女平等条例案を策定中、女性の性と生殖と健康に関する自己決定の権利を、条例案に記すか記さないかは、議員のあいだでは論議がありました。

「性と生殖に関する健康・権利」は、生殖の過程が、身体的、精神的、社会的に良好な状態で、安全で満足な性生活を営めること、子どもを何人産むかどうか、いつ何人を決定することの自由をもつ権利です。日本では、若年層の性行動を考えるとき、性と生殖に関する健康・権利の教育が必要である、性にかかわる具体的な知識・相手を尊重する思いやりを育てること・男性も女性も自分の身体と同じように相手の身体についての知識を与える教育が必要といわれています。

私は、議会の委員会で「性と生殖に関する健康・権利」を条例案に記す必要はないという一部の議員の主張を聞いたとき、乳がんの治療法の選択にも関ると気付きました。

欧米ではしこりだけをとる温存療法が多く、日本では乳房を全部摘出する手術が一般的であるのは、日本では乳がんの治療法を本人よりも夫や医者が決定することが多いことによると推測できます。

近藤誠ドクターの著書のなかで、「男性のペニスが癌だからといって、ペニスを切除する治療法を選択はしない」という趣旨の文章がありました。女性の身体は夫のものという考え方がまだ一部に残っているのでしょう。医師(男性が圧倒的に多い)による治療法の押し付けも考えられます。

機能的にも乳房が片方だけだと身体のバランスがとれにくく、生活の質に影響することが指摘されています。温存手術での治療が可能である場合、乳房を切除して女性にさまざまな不都合をもたらすことは、犯罪に近い医療行為ではないかと考えられます。医師は、癌を治すために不必要に臓器の摘出をおこなってはならないはずです。

女性が自分の身体について自己決定する場合、治療法の情報提供があったなら、身体に対しての負担のすくない治療法・生活に負担の少ない治療法を選択するでしょう。

改めて、性と生殖に関する健康・権利は、嵐山町男女平等参画条例(案)にも記したいものだと強く思いました。

幸いにして、女性議員全員の要望で性と生殖に関する健康・権利は条例案に記すことができました。

             
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