1ヶ月くらい前だったろうか。図書館で、現場生活環境主義というタイトルの岩波ジュニア新書があった。
滋賀県知事の嘉田由紀子さんの思想の紹介だ。

どんな人か知らない。読んでみようと手に取った。
琵琶湖に流れ込み琵琶湖からの水を地域の人が利用する態様から、遠い水・近い水という水と人間生活の環境が描かれている。
現代生活は構造的に水の流れから遠ざかった生活。蛇口をひねれば水が利用でき、排水口から水が家庭生活から去る。
かつて、琵琶湖周辺では、朝は飲み水を汲む時間、昼間は洗いものを流れでする時間と水は、家の周りを流れており、水を利用するルールがあった。
家の敷地内に水の流れが組み込まれていた。
水に近い生活をしていた。

だから、洪水などにも対応できる町づくりを考えることができた。

おもしろい。

嵐山町の上下水道を考えると、嵐山町では上水道は都幾川から取水し、市ノ川が下水の川として機能させ、都幾川の水が減り、市ノ川の水量がある地点から増える都市の構造がどうも不愉快だった。

嘉田さんは水利用の形態をじっくりと調査していくそのなかで、人間の生活文化のあり方を捕らえていくという学者だった。

女性の学者が水の循環を考える思想のなかから県のトップとして政治をになう。

素敵な人だ。女性の政治家の2世議員の存在も目立つ。
学問の構築のなかで政治の動きの必要性を感じた人だ。
少し、嘉田さんの著作を読んでみたいとおもうようになった。

10月30日、母がなくなった。
私は子どもとしての義務を果たしたとほっとしている。
こどもは末の子もそろそろ自立の時期。
親としての責任も終わる。

それなりの解放感がある。
親の看取りのなかで何らかのメッセージが伝わってくると聞いていたが、残念なことに私はセンシティブではないのだろう。メッセージを受け止めることはできなかった。

女性の平均寿命までは私は20数年ある。
そのなかで、私にも嘉田さんのような思想の切り口ができるとよいとおもう。
私の場合は、環境と市民政治がキーワードになって、グローバル化経済に対応する循環型社会を構築する糸口をつくることだ。
着実にできるとよい。